現代の私たちの生活にすっかり馴染み、もはや欠かせないレベルにまで根付いた通販サイト「Amazon」。
販売されている商品ジャンルも多岐にわたり、書籍や日用品といった身近なものから、仕事で使う専門器具、さらには自動車本体まで取り扱っているというから驚きです。
さて、そんなAmazonには「レビュー」機能があり、時にその中から愛のこもったアツい感想文が取り上げられ、ネット上で話題になることがあります。そこで今回は、過去に「はてなブックマーク」で話題となったAmazonの商品ページをご紹介。その傾向を探ってみました(本は除く)。
ideaco ゴミ箱 TUBELOR ブラック
売り上げランキング: 16,804
紛うことなきゴミ箱。どこからどう見てもゴミ箱。
それなのに、なぜバズったのかと言えば……これ、見覚えありません?
――そう、Appleの「Mac Pro」です。2013年の発表当時、はてなブックマークだけではなく、「これ、自分の部屋にあるぞ!」とTwitterなどでも話題になったので、覚えている方もいるのではないでしょうか。
Amazonの商品ページを見ても、ゴミ箱本来のレビューに加えて、「総合的に見て、この製品は文句なしにゴミ箱です」などの名文(?)が並ぶこの始末。これだけ似ているのだから、致し方なし……?
それにしても、「新しいMac Proの外観は、ほかのどんなコンピュータにも似ていません」という謳い文句に対して、「ゴミ箱とそっくりだ!」と突っ込まれるとは……。
勇者の剣 つるぎ
勇者の剣です。
多分、冒険の序盤から中盤にかけて手に入る装備。
商品のカスタマーレビューを遡ってみると、最初の投稿が2012年10月。このレビューもネタっぽいのですが、次の2013年2月に投稿された感想文が人気を博し、ネット上で話題に。「中盤までの攻略におすすめ」というこの投稿は、現在もトップレビューとなっていますね。
現在は取り扱いがない様子ですが、ちなみに本商品を作っているのは、馬のアニマルマスクなどでもおなじみのパーティグッズメーカー・株式会社アイコさん。さすが、いいセンスしてます。
Too コピック マルチライナー SP カラー 0.3 ピンク
売り上げランキング: 682,021
「コピック」とは、絵の彩色に使うマーカーのこと。マンガ家さん、イラストレーターさんの会話などでたびたび耳にしますね。
じゃあなんでそんな「コピック」がバズっているのか。よほど使い勝手が良いのか、はたまた格安セールでもやっていたのか。……その答えは、「Amazon側のミス」でした。
当時は一部Twitterでも話題になっていたと記憶していますが、なぜか本商品が「アダルトコンテンツ」と認識され、Amazonでページにアクセスする際に「警告」が表示されるようになっていたらしいのです。現在は修正されていますが……謎だ。
山善(YAMAZEN) 食器乾燥器 YD-180(LH)
売り上げランキング: 3,791
何の変哲もない、一般的な食器乾燥器。にも関わらず、他の乾燥機と比べると、圧倒的なレビュー数を誇る人気商品の様子。そんなにも山善の製品は信頼されているのか……! と思ってよく見てみると、案の定……レビューがなんだかおかしい。
150件以上にも及ぶレビューをざっと見ると、その大多数に「模型」の文字が。そうなのです。本商品は、2007年に投稿された「違う用途で使えます」というレビューを発端に、「プラモデル・模型用の乾燥ブースとして使える」という評判が口コミで広がり、人気を博したのでした。
それも「ネタ」的なレビューはあまり見られず、「本当に模型用として使える!」という、本気でマジの高評価。逆に「本来の用途」で使っている人の低評価も散見され、メーカー側として複雑かもしれませんが、売れ行きが良いらしいのは、良いこと……です?
まとめ
以上、4つの商品をご紹介させていただきました。
これらの共通点としては、やはり話題になる以上は何かしらの意外性や興味深さが必要となっており、特に「ネタ」的な意味でバズった商品が多いという印象がありますね。
その鍵となるのが、商品のレビュー。商品の用途は置いといて、「そういう感想を書くのはありなの!?」と驚かされ笑わされる、「大喜利」のようなレビューが注目を集める傾向にある様子。この「おもしろレビュー」に関しては、過去にも本ブログでご紹介しました。
一方では、本記事でいう「コピック」や「乾燥機」のようなパターンもあります。「コピック」に関しては、Amazon側のシステムの問題による不幸な出来事でもありますが、同様の分類ミスはたびたび起こっていたようです。アイドルの写真集に、別人の別商品画像が掲載されていた、とか。
そして「乾燥機」については、「ネタ」というよりは「想像もしない使い方をしている人がいた」という、純粋な驚きによって話が広まったように見えますね。しかもその「使い方」が、思いのほか実用に値するものだった、と。実際の購買にも結びつく、興味深い事例となっています。
これらは一見すると、ネットに跋扈する「おもしろコンテンツ」のひとつではありますが、視点を変えてみると、特定の事物に対する評価軸はさまざまであり、書き方次第で個性を際立たせることができる――とも言い換えられるのではないでしょうか。
もちろん、狙ってやるのは難しいですし、自然発生的に生まれる「おもしろさ」であるようにも思います。ですが、こういう例があるということも知っておいて、損にはならないはず。
――商品紹介にだって、「あそび」があってもいいじゃない。