2014年に入ってから、インターネットの各所で、「バイラルメディア」という言葉をよく目にするようになりました。
また新しい言葉が出てきてよく分からない!
……とくれば、調べてみるしかないでしょう。
はてさて、「バイラルメディア」とは、どのようなメディアなのでしょうか。
「バイラルメディア」とは?
バイラル(Viral)とは「ウイルス性の」「感染的な」という意味で、「バイラルメディア」とはFacebookやTwitterなどのSNSの情報拡散力を利用して、インパクト・話題性のある動画や画像を中心とした記事に、短期間で爆発的なトラフィックを集めることを目的としたブログメディアを指す。
記事の上下に大きめのソーシャルボタンを配置し、共有しやすくしたレイアウトと、スマートフォンでの閲覧を意識したデザインが特徴とされる。
ざっくりと言えば、
「パッと見て読んで、思わず他の人にも勧めたくなるようなコンテンツを提供することで、たくさんの人にオススメ(=共有)してもらおう!」
ということを目的としたブログメディア、と言いましょうか。
大きな特徴としては、FacebookやTwitterといった、ソーシャル系サイトでの拡散を前提としている点ですね。
「基本を学ぶ!3つのwebマーケティング手法の実践と考え方」に書かれている方法で言えば、最後の「SNSからの集客」のみに注力しているような形となります。
これまでのWebメディアでは、SEO(検索エンジン最適化)によって、どれだけ検索からのアクセスを増やすかを考えることが最重要視されていました。
もちろん、今でもその傾向は変わっていません。が、その中でも、「SNSの情報拡散力」に目をつけて大量の流入獲得を目指そうというのが、バイラルメディアの特徴となっています。
では、具体的にはどのようなメディアがあるのでしょうか。
Whats
早い段階で出てきた国内のバイラルメディアのひとつ、「Whats」。
「驚く」「なごむ」「刺さる」「笑う」というカテゴライズのもと、多彩な動画・画像が紹介されております。この分類は、分かりやすくていいですね。
このように動画(画像)と合わせて、二言三言ほどのコメントが付け加えられているような形。タイトルで惹きつけ、説明は最小限に、コンテンツそのものを楽しんでもらうような記事構成になっていると言えるでしょう。
CuRAZY
「笑い」に特化したメディア、「CuRAZY」。この名前は、キュレーション(Curation)とクレイジー(Crazy)を合わせたものであるそうです。
こちらは、単純に動画を載せるだけではなく、その動画のスクリーンショットを何枚か示しておくことによって、動画の内容を端的に紹介しているような記事作りをしています。
確かに、ちょっと長い動画だと、「時間かかるなら見なくていいや」となってしまう人もいるでしょうしね。
Spotlight
今、注目を集めているメディアのひとつが、株式会社サイバーエージェントの運営する「Spotlight」。
最新のトレンド、エンタメ・カルチャー、ライフ・社会など、取り扱うコンテンツのジャンルは様々です。
オリジナルコラム、インタビューなども掲載されており、一部では「バイラルメディア=既存のコンテンツを転載しただけ」という評価のある中で、独自色の強いメディアとなっているような印象があります。
バイラルメディアの利点
Googleを代表とする検索エンジンからの流入ではなく、SNSでの拡散に力を入れるバイラルメディア。海外ではもっと早い段階から広まっていたようですが、今年に入って、日本国内でも急速に取り上げられるようになったのは、なぜでしょうか。
その大きな理由のひとつとして、スマートフォンの存在が挙げられると思います。
スマートフォンが広く普及したことによって、パソコンではなく、モバイル端末で空き時間にインターネットに接続する人が、爆発的に増加しました。
かたや「フィーチャーフォン」として、スマホとは区別されるようになった、おなじみの携帯電話。もちろん、そちらからもインターネット接続は可能でしたが、ケータイの小さな画面では、とても快適にネットサーフィンができるとは言えなかったように思います。
ところが、スマホの普及によって、移動時間やファミレスなど、いつでもどこでも気軽に、パソコンさながらのネット環境が手に入った現在。スマホでネットに接続し、ニュースやブログを読んだり、動画を見たりするのは、もはや当たり前のものとなりました。
自身のブログやメディアを運営されている方の話を聞いても、「サイトへのアクセスの半分以上がスマホ・タブレットから」という人は少なくありません。事実、僕のブログも6、7割がそのようになっています。
それゆえの、バイラルメディア。
空き時間にスマホからアクセスしてもらい、短時間で楽しんでもらえて、すぐに共有して拡散されるような仕組み。
直接サイトをブックマークしてもらえていなくとも、FacebookやTwitterで誰かが共有すれば、自然と拡散されるようなタイトル付け、記事作りを行なっているので、アクセスを稼ぎやすい。
そのような、スマートフォンユーザーに適した媒体となっているのが、バイラルメディアの強みであるのではないでしょうか。
バイラルメディアの「独自性」
しかし他方では、「既存のコンテンツを転載しただけじゃないか」という批判も一部にはあります。
YouTubeやブログなどで過去に話題になった動画・画像を転載し、センセーショナルなタイトル付けをしているだけ。
一時期、問題となった、2ちゃんねるの「まとめサイト」と似通った構造をしていると受け取れなくもなく、それを「パクリだ」「おもしろくない」と感じる人がいても、おかしくはないのかもしれません。
それら批判の回避策としては、単なる「転載」ではなく「引用」であり、そのコンテンツの魅力を惹き立てるような「紹介」としての記事作りをすることが、まず考えられます。
先ほどのスクリーンショットを利用するとか、独自のコメント・解説文などを一緒に載せるとか。単純ではありますが、差別化のため、必要な工夫なのではないでしょうか。特に具体的な「解説」などは、読者に好まれやすいように思います。
そして、もうひとつ。やはり、そのサイト独自の「オリジナルコンテンツ」を積極的に配信することが、何よりもメディアの価値を高めるものであると言えるでしょう。
結局のところ、コンテンツには限りがあります。日夜、次々とウェブ上には数多くのコンテンツが増え続けているとは言っても、限界がある。
どこのメディアも同じものを紹介していては差別化にならないし、読者としても食傷気味になってくることは否めません。どうしても「まとめ」系のメディアは似たり寄ったりになってしまうので、生き残るためには、他との差異を示すことが必要になってきます。
そのためには、自分たちだけの、独自のコンテンツを自ら作り出すこと。
バイラルメディアに限らず、あらゆるメディア、サービスに共通する、当たり前のことではありますが、大切なことなのではないでしょうか。