前回の記事では、情報収集の観点から、ネット社会における「インプット」に関する情報リテラシーについて取り上げました。
今回は、その次の段階。
インプットした情報をどのように扱い、自分なりに「アウトプット」していくかについて。
その考え方と注意点について、同じく津田大介さんの著書『ゴミ情報の海から宝石を見つけ出す』からご紹介させていただきます。
アウトプットに関する11の考え方
本書では「アウトプットの論点」と題し、まるまる1章を割いて、ソーシャルメディアにおける情報発信、アウトプットにまつわる考え方・方法論が記されています。
その11通りの考え方について、ここでは簡単にご紹介します。
1. ツイッターでフォロワーを増やす方法
この項目については、既にこちらの記事で紹介しました。
相互フォロー関係にある人に対して「貢献する」という意識を持ちながら、自分の日常やアイデアを発信することによって、自身についても興味を持ってもらえるように立ちまわること。
ソーシャルメディアの「双方向性」を存分に活かした形ですね。
2. 何から書きはじめたらいいのか
Twitterで情報を発信しよう!ブログを書いてみよう!
思い立ったはいいけれど、何から始めたらいいのか分からない……。
そのような人も少なからずいらっしゃることかと思います。最初の一歩は、難しい。
飲みの席で「これはこうなんだよ」と何か人に知識を教えられるようなジャンルがだれしも一つはあるはずです。まずはそれについて書けばいい。
津田さんがこう書いているように、まずは自分の「好き」なこと、他人に「教えられる」ことから始めるのも一手だと思います。どんなニッチな話題でも、どこかに興味を持ってくれる人はいるはず。
3. ブログを長続きさせるために
新しく始めた物事は三日坊主になりがち。
それを避けるための考え方として、「続けること自体が勉強なんだ」と意識することを勧めています。
ブログは他人に読んでもらう情報発信の場であると同時に、自分の思考や学びの過程を記した一冊の「ノート」のような存在でもあります。
ブログでの情報発信を続けていれば、そのジャンルについて自然と詳しくなっていくはず。知識がつけば、様々な角度から語ることもできるようになり、話題の幅も広がろうというもの。
そこへ至るには、やはりまず「続ける」こと、でしょうね。
4. いい文章を書くための秘訣
文章の書き方は人それぞれにあるものでしょうが、ここでは「ファクト」(事実)と「オピニオン」(意見)のバランスに気を付けることを提案しています。
具体的には、
事実:意見 = 7〜8割:2〜3割
といった数字。
独りよがりの文章になりがちな人は、これを意識するだけで情報の質が大きく変わると思います。
5. こうした表現はやめなさい
筆者曰く、“文章の強度は「推量」と「断定」のバランスで決まる”、と。
「〜だろう」「〜ではないか」といった言い回しは不安や自信のなさと受け取られるため、避けるべき表現として挙げられています。
また、「興味深い」「〜な人にはおすすめ」「〜は議論を呼びそうだ」という曖昧な表現も同様。ニュースなどでも耳にする言い回しですが、何かを言っているようで実は何も言っていないんですよね……。
6. 忙しくて書き込みをする暇がない?
多忙な生活を送っており、本当はネットで情報発信をしたいのだけれど、なかなか時間がとれない……。
そんな人でも、「睡眠はしっかりととるべき」というのは大前提。
その中で何かをしようとするのであれば、やはりどうにかしてスキマ時間を確保するしかない、と書かれています。
ここで挙げられているのは、お風呂の時間や移動時間ですね。
ちょっとした瞬間に考える時間を設けて、少しずつでも発信すること。
7. 「ネタツイート」はどこまで許されるのか
実在の人物や時事問題についておもしろおかしく表現し、笑いをとろうとするネタツイート。
これに関しては、許されるラインが人それぞれに違うこともあり、結局のところは“自分の発言に対するリスクとコストを背負う覚悟があるかどうか”、としています。
言いたいことがあるなら、好きに発言すればいい。
けれど、それに対して批判がくることは覚悟の上で。
そして、自分が間違っていたと感じるのなら、素直に謝りましょう。
8. 叩かれそうな意見でも言うべきか
少数派として意見を発信しようとした場合、反対意見が飛んでくることが容易く想像できてしまう場合があります。そのようなとき、叩かれるのを覚悟で言うべきか。
いろいろな考え方があると思うのですが、ぼくは何かを発言するときに「叩かれない」ことを目的にすべきではないと思っています。まずは自分に、叩かれてでも言いたいことなのかどうかを問うてみる。そのうえで、どうしても言いたいなら言う。
ちょっとマッチョな意見であるようにも思いますが、この辺りは各々がラインを考えて、発言の決断をしていくしかないのでしょう。
こちらも賛否が分かれそうな言説ではありますが、ウェブ上で情報発信を続けていこうと考えるのであれば、“炎上をくりかえして耐性をつけるべし”と津田さんは書いています。
賛否両論が起こる意見は、そこで何かしらのムーブメントが起こせている「よい兆し」
個人的には、「炎上」は安易に勧められませんが、「どこまで書いたら炎上するのか」という最低ラインを見極めるうえでは、そのような経験を積むのもひとつの手だと思います。
10. ネガティブな反応をどうとらえるべきか
自分に関する発言を調べることを「エゴサーチ」と呼びますが、それをある種のマーケティング調査として利用してはどうか、というのが筆者の言。
「こう書くとこういった反応が出るのか」という空気感を肌で味わうことができますし、やはり情報発信を続けようと考えるのであれば、目を通して損はないと思います。
ただし、人間はネガティブなものに意識を持っていかれがちなので、同様にポジティブな意見も見るようにすることも勧めています。
11.ツイッターでしつこくからまれたら
Twitterには様々なユーザーがいるため、たまに話が通じないようなケースも存在します。
そのようなときは、とりあえず「対話の姿勢を示す」という意味で、津田さんは“一回だけ返事をする”ようにしているそうです。
その後の対応は人によって変わってくると思いますが、まずは話そうとしてみることは悪くないのではないでしょうか。話してみたら、意外と有意義な意見交換ができた、なんてこともなくはありません。
自分なりの「情報発信」を確立する
インプットと同様か、それ以上に、情報のアウトプットには様々な考え方があると思います。
やはり読者やフォロワーといった外部の視線が気になるため、悩みや問題は尽きません。無理に続けることで、心を病んでしまうような場合も考えられます。
最悪のケースを避け、長く情報発信を続けようと考えるのであれば、本記事で取り上げたような先人の知識を参考にすることはひとつの確実な手段と言えるでしょう。
しかし、特に「炎上」に関する見方などは本当に人によって異なりますし、持っている耐性も人それぞれです。
他の人の意見を参考にしつつも、情報発信を続けながら、最終的には自分なりの「アウトプット」方法を確立することが大切。
めまぐるしく変化するインターネットの現状に対応するには、しっかりとした自分の考えを持ちつつも、その時時の環境に対応していく必要があるのではないでしょうか。