僕は、Twitterを使い始めてから6年になります。
始めたばかりの頃は使い方がよくわからず、見ず知らずの他人をフォローする際にDM(ダイレクトメッセージ)をわざわざ送ってしまったのも懐かしい思い出。そのときは相手が優しい人で、「そこまでする必要はないですよー(笑)」と丁寧に教えてくれたから良かったのですが。
そもそものきっかけは、大学の友人とのコミュニケーションツールとして、mixiから移住する形で使い始めたことでした。それから徐々に使い方を覚え、同じ趣味を持つ“他人”も積極的にフォローするようになり、中には実際にリアルで会うことになったようなケースもあります。
自分の場合は、そのように「Twitter」というサービスが普及し始めた段階で使っていたため、そのルールやカルチャーといったものも肌感覚で覚えることができました。しかし一方では、新たに使い始めようとする初心者さんの話を聞くと、「何が楽しいのかわからない」ということも少なくないとか。
そこで今回は、Twitterの楽しみ方がわからない人向けに、自分なりの考え方をざっくりとまとめてみました。以下の内容が「正解」というわけではありませんが、少しでも参考になれば幸いです。
良くも悪くも「ツッコミ」本位のツール
これは「2ちゃんねる」の時代からずっと続くインターネットの特徴のひとつでもありますが、ひとつの投稿に140字という制限のある「Twitter」では、その性質がより顕著に現れているように見えます。
それすなわち、「ツッコミ」本位である、ということ。
数千字単位の文章を1人で書く「ブログ」などの場合、そのメインコンテンツとなるのは「ひとかたまりの情報」です。何かしら特定の専門情報をまとめたものだったり、あるいは自分の意見や日々の記録だったり。自分のことを書く「日記ブログ」などは、その最たるものですね。
もちろん、中には時事ニュースや社会問題に「ツッコミ」を入れているブログも少なくはありません。が、それらも大多数は長文コンテンツであり、文章の主軸を成しているのは「筆者の意見」であるケースが多いはず。その点、断片的過ぎる「呟き」を取り扱うTwitterとは、またちょっと性質が違うのかな、と思います。
「Twitter」に代表される短文コミュニケーションサービスはその短さゆえ、投稿の内容も「筆者の意見」というよりは、「一言二言のツッコミ」という印象の強いものです。「これは良い」「いや、それはおかしい」「くそわろた」「何言ってんだこいつ」などなど。
こうした「ツッコミ」の性質を見ると、ユルく気軽に他の人とあれこれ話せるというメリットがある一方で、時には炎上を引き起こしたり口調が悪くなったりするという、悪印象につながりかねない部分もあると言えます。また、短いために「誤読」を誘発しやすいという指摘もありますね。
「Twitter」というツールを知るうえでは、まず何よりも、こうした傾向と特徴を意識することで、理解の手助けとなるのではないかと。ひいては、その「文脈」を掴むことにもつながるはずです。
イメージは“休み時間の教室”
朝、起きてTwitterのタイムラインを開くと、ありとあらゆる人が「ツッコミ」を入れているのが目に入ります。ニュースサイトのURLを引用しつつ、自分の意見を一言加えてツイートしていたり、店員のサービスが悪いだのなんだのと文句を言っていたり。
――と言っても、実際はツッコミにかぎらず、「遅刻だー!」とか「今朝はスタバでモーニング☆」とか「通勤電車で向かいに座っている美女と目が合った!うっほー!」なんて、自分のことを書いている人も決して少なくはない……というかむしろ多数派かもしれませんが、それはまあ置いといて。
ニュースなどに対して各々が好き勝手に「ツッコミ」を入れているTwitterのタイムラインの様子を例えるなら、「休み時間の教室」がちょっと近いかもしれません。昨晩に観たテレビ番組や、今週の『ジャンプ』の内容について、友人とあれこれ楽しく話しているようなイメージですね。
リアルの談笑と異なるのは、まず先に各々が自由な話題を「独り言」として呟いて(ツイートして)おり、それを聞いた(読んだ)まわりの人が乗っかる形で、自分なりの「ツッコミ」を加えていく点です。特定の相手に対して話しているわけではないので、中には“乗っかられず”に流れてしまう呟きも当然ありますが。
例えば、しばらくずっと話題に挙がっている、「東京五輪のエンブレム」についてTwitter上で検索するだけでも、その反応――もとい「ツッコミ」はさまざま。現在は使用中止が決まったことで話題の方向性は決まりつつありますが、最初の頃はいろいろな形で話が広がっていました。
「パクリふざけんな」「いや、パクリじゃないよ」という単なる賛否に留まらず、「そもそもデザインとは」「オマージュ・リスペクト・パクリの違いについて」「僕はこんなデザインを考えたよ!」「そんなことよりも俺は面積が知りたいんだ」などなど、なんかよくわからない方向にまでツッコまれていたと記憶しています。
正直なところ、元の「デザインの盗用疑惑」という論点からすれば、話題があっちゃこっちゃに広がっているだけで何の解決にもなっていません。が、良くも悪くも、こういった十人十色の「ツッコミ」が出てくるのがTwitterの、そしてネットの特徴であり、その「楽しみ方」なんじゃないかな、と思います。
端的に「どこへ行った」「何を食べた」などの自分の話を写真とともに投稿して、まわりからの「いいね!」を期待するFacebookとは異なり、Twitterでは既存の話題に自分の視点から「ツッコミ」を入れ、他の人の「ツッコミ」と合わせて楽しんでいる人が多いように感じます。
そういった意味で、どこかしら“休み時間の教室”っぽくもあるんじゃないかと。実際のところは「独り言」に近しい性質を持っており、つながり自体もユルいものではありますが、さまざまな話がごっちゃになったTwitterの、イメージのひとつとして挙げられるのではないかな、と思います。
まとめ:習うより慣れよ
ぶっちゃけ、「楽しみ方も使い方も人それぞれ」の自由なサービスであるため、ここで書いてきたことが一概に正しいとは言えません。――が、中にはそういう楽しみ方をしている人が相当数いる、という意味では、あながち間違ってはいないのではないかと思います。
特定の話題に対してああだこうだと「ツッコミ」を入れるのは楽しくもあります。しかし、それによってやたらと批判的・他罰的な切り口で呟くようになってしまったり、全然詳しくもないのに「評価」してしまうような、周囲から見て好ましくないツイートを繰り返すことは避けるべきものでしょう(僕もたまにやってしまいますが)。
こうした「ツッコミ」の問題点については、お笑い芸人・マキタスポーツさんが書いた『一億総ツッコミ時代』という本で興味深く論じられていますので、興味がある方はぜひ。一部抜粋させていただきますと、次のような切り口から「ツッコミ」の問題点を指摘しています。
マスコミの権力を疑うよりも、彼らが醸し出している空気に乗っかって、魔女狩り的なツッコミを行っている。この場合のツッコミは「叩き」を同義であり、見えないツッコミは数の論理で相手を追いつめていきます。
(槙田雄司『一億総ツッコミ時代』星海社新書)
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極端なツッコミは最悪、「炎上」などの騒ぎにもつながりかねませんので、「自分がどういった意図でツイートしているのか」という意識は、常に持っておきたいものです。一口に言えば、「誰かが不快になるようなツイートは避ける」という基本的な部分を守ること、でしょうか。
以上の説明だけでは、判然とせずわかりづらかったかもしれません。なので、まずは自分で使いながら、あれこれ試して自分なりの「楽しさ」を探していくことをおすすめします。
とは言え、いきなり自分でツイートをするのはハードルが高いかもしれませんし、「文脈」と言われても何のことやら……という方もいるかと思います。そこでまずは、先程の「Togetter」のページを追いかけるなどすることで、Twitterの流れを知る助けとなるかもしれません。
新着のTwitterアカウントまとめ – Togetterまとめ
・NewsPicksランカー – Twitterアカウントまとめ(13) – Togetterまとめ
・ガジェット好き – Twitterアカウントまとめ(35) – Togetterまとめ
・アキバゴハン – Twitterアカウントまとめ(22) – Togetterまとめ
・ツイート多めの弁護士さんアカウント – Twitterアカウントまとめ(60) – Togetterまとめ
・読みたい本に出会えそうな出版社の公式アカウント – Twitterアカウントまとめ(30) – Togetterまとめ
このように、特定の話題を発信しているアカウントをまとめたページならば、その文脈も把握しやすいはずです。
法則らしい法則もなく、ユーザー各々の気分と社会の動きによってどのようにでも移り変わる「流れ」を見ているのが楽しめる人ならば、きっとこの「Twitter」というサービスをめいいっぱいに使うことができるのではないかと思います。
Twitterの話題に関しては、以下のような記事も過去に書いておりますので、よかったら参考にしてみてください。その独特の「流れ」の一例が垣間見れる内容となっております。