一時期は「犯罪の温床」とも言われ、怖いイメージが付きまとっていたインターネット。
初期のパソコン通信世代にとっては珍しくもなかった「オフ会」に関しても、「見ず知らずの他人と現実で会うなんて信じられない!」と叫ばれていた側面があったように記憶しています。メディアで報道される犯罪や、出会い系サイトの悪印象が強すぎたのでしょうね。
ところが今や、そういった「ネット」と「リアル」を隔てていた壁は取り払われたも同然。手軽なイベント告知サイトなども整備され、TwitterをはじめとするSNS上でも個人・集団を問わず、頻繁にオフ会の話がされています。それは、ブロガーやライターにとっても無縁ではありません。
今回はそんな、ネット上で活動している人が「リアルイベント」に参加することについてのお話。
「匿名」ではない「HN」によるイベント参加
インターネットを介して交流している人と現実で顔を合わせて話をしようという、いわゆる「オフ会」。個人間の「出会い」にはまだ躊躇もありますが、特定のコミュニティでの「イベント開催」という面で見れば、開催・参加のハードルはいずれも下がったという印象があります。
その一因として、「SNS」の普及があると僕は考えています。と言うのも、匿名文化である掲示板で企画されるオフ会の場合、企画者・参加者ともにその実態がわからないため、何かあったときのリスクを考えて足踏みしてしまう人も多かったのではないでしょうか。
その点、個人の「ハンドルネーム」ありきで交流が行われているSNSにおいては、ある程度は参加者の背景を知ったうえで参加を検討できるという強みがあります。自分のプロフィールを掲載している人も少なくありませんし、ネット上での“通名”とは言え、一応は個人が判別できる状態。
もちろん、プロフィールが真実であるという保証はありませんし、中には猫を被ってよからぬことを企んでいる人もいるかもしれません。それでも、HNによって「個人」の認識が可能であり、相手が「わかる」ことは大きい。だからこそ「会いたい」と考える側面もあるのでしょう。
いちユーザーとしての友達作りに留まらず、ネットを介したやり取りが発展して、実際に会って話をしたり、それが仕事に結びついたりするということは、今となっては至極当然のものだと言えます。
――であるならば、特にネット上で創作活動や情報発信をしている人たちこそ、もっともっと「リアルイベント」の場に出たほうがいいんじゃないかな、とも思うのです。
お互いに認知し、認知され、コミュニティの輪を広げる
と言うのも僕自身、そういった「イベント」に参加するようになってからはリアルでのつながりに限らず、相互作用的にネット上での活動・交友の幅も広まったように思うんですよね。
一対一で会おうという気軽な「お茶」に始まり、普段からネット上で話をしていた趣味嗜好の近い仲間との「オフ会」、さらには数百人規模の「イベント」まで、内容はさまざま。いずれも参加して損したということはありませんし、大なり小なり現在の活動に影響を与えています。
イベント参加は、特に自分のブログを運営しているブロガーや、ネット上で記事を書いているライターにとっては良いこと尽くめ。……と書くと「自分の名を売るチャンス!」とか「担当者さん相手に営業してお仕事ゲット!」といった話も出てきますが、それは一部でしかありません。
個人的にはガツガツと突っ込んでいくよりは、「イベントへ遊びに行ったら、面白そうなことに巻き込まれていた」くらいの感覚で参加したほうが気分的にも楽ですし、楽しめるのではないかと。遊びに行ったら、詳しい人がたくさんいて、勉強になった。それだけでもいいでしょうし。
大切なのはただひとつ、何よりも「その場にいる」ことだと思います。
時には面白い話や仕事が持ち込まれて“巻き込まれる”こともあるでしょうし、こちらから提案して“巻き込む”こともあるでしょう。面と向かって話しているからこそトントン拍子で進む話もありますし、それはネットにはない「つながり」であり、「面白さ」であるのではないでしょうか。
もちろん、受け身で“与えられる”ばかりでは申し訳なくなってしまうので、「こういうのはどうでしょう?」と自ら提案する姿勢も大切だとも思います。でも見方を変えれば、そういったリアルイベントの場に参加している時点で、決して単なる“受け身”ではないとも考えられるのではないかと。
とにかくまずは、思い切ってイベントに参加してみること。最近は無料のイベントや勉強会の類も増えておりますので、自分の興味のある分野から、どんどん足を運んでみることをおすすめします。そこから広がる世界は、間違いなく、あります。