近頃、岡崎体育さんの名前を耳にする機会が増えたように思います。兵庫県出身の岡崎さんは、27歳のシンガーソングライター。今年メジャーデビューし、1stアルバム『BASIN TECHNO』はオリコンのデイリーチャートで6位にランクインしました。
ネット上で広まったきっかけは、やはりこちらのMVでしょうか。「『邦楽のMVあるある』を『MUSIC VIDEO』という曲のミュージックビデオ上で表現する」という、なんともメタな作品が話題に。SNS上で広く拡散され、2016年9月末現在、960万再生を記録しています。
今回はそんな岡崎体育さんについて、簡単にまとめてみました。
岡崎体育さんと「盆地テクノ」
改めまして、岡崎体育さんについて。公式サイトのバイオグラフィーによれば、岡崎さんは兵庫県西宮市生まれ・京都府宇治市で育った27歳で、現在は奈良県奈良市を拠点に活動されているようです。
音楽・作曲に興味を持ちはじめたきっかけのひとつに、ニンテンドーDSの『大合奏バンドブラザーズ』が挙げられており、当初はバンド活動よりもDTMを使った作曲活動をメインにしていたらしい記述も。洋楽やテクノ音楽の影響も色濃く受けながらも、電子音楽畑出身という見方もできるプロフィールとなっています。
また、メジャーデビューアルバム『BASIN TECHNO』は文字どおり「テクノ」を前面に出したタイトルとなっていますが、ご自身は自分のジャンルを「盆地テクノ」と評しておられました。
──ご自身の音楽のジャンルを盆地テクノと位置付けられていますが、これはいつから?
岡崎体育として初めてやったライブのときですね。深い意味があるわけじゃないんですよ。盆地っていう言葉のキャッチーさと、テクノっていう言葉の響きがいいなと思って。あとはテクノって言ってますけど、そんなにちゃんとしたテクノじゃないもので……。
(中略)
これをテクノって言っちゃ怒られると思って「盆地テクノ」と名付けてお茶を濁しています。
そして、このアルバムに収録されているのが、ネット上でも話題になった「MUSIC VIDEO」。邦楽のミュージックビデオに特にありがちな演出を歌い、映像でも表現した「あるあるネタ」となっており、Twitterなどで広く拡散されました。邦楽MVとしては異例の再生回数で、1000万再生も間近となっています。
くるり・岸田さんが岡崎さんの音楽に見た、京都の風景
そんな岡崎さんの楽曲は、他のアーティストからも高評価を得ている様子。冒頭のNAVERまとめでの言及にもあったように、きゃりーぱみゅぱみゅさん、SEKAI NO OWARIのFukaseさんといったメジャーアーティストからもTwitter上で絶賛されていました。
他方では先日、くるりの岸田繁さんが「京都の音楽文化」について書いたブログ記事上でも、岡崎さんについて言及されていた模様。以下、引用させていただきます。
話は逸れるが、岡崎体育くんはカッコいいと思った。宇治(宇治茶とか平等院のイメージというよりは、郊外のベッドタウン)のイメージそのものだったからだ。
イオン、急行停車駅、ヤンキー、建売分譲、山肌のニュータウン、宇治川花火、洛中への意識…全て景色が見えた気がする。京都のアーティスト・イメージなんて吹き飛ばしてしまえ、と心の底で少し思った。
「京都」という、良くも悪くもある種のイメージが染み付いている地域に対して、そのなかでも特定の「宇治」という街そのものを岡崎さんは表現している、との指摘。
音楽と地域性の関係、あるいはサブカルチャー論に関して自分は全く明るくないのですが、興味深く読んだ覚えがあります。強いて言えば、自分と縁のある街として川越=スネオヘアーのイメージがなんとなくある……とか、そのくらいでしょうか。
ともかく、曲名や歌詞で具体的な名前が登場するわけでもないのにその街のイメージを喚起するアーティストであるという、他の多くのメディアで見られる“岡崎体育評”と異なる視点は新鮮に感じました。
ここからさらに、「京都の音楽文化」全体のイメージを考察するようなこともできるのかもしれませんが、僕自身は京都や京都出身のアーティストに関しては詳しくないので……ここでは、参考になりそうな記事をご紹介させていただく形でとどめておこうと思います。
岡崎体育さんの新曲と、『舟を編む』の主題歌
このように各メディアで話題を集める岡崎さんは、7月には配信限定の新曲「割る!」を発表。酒飲みさんにはおなじみの「JINRO」とコラボし、キャンペーンCMソングとしてオンエアされています。カッコよくも楽しいMVもYouTube上で公開中、50万を超える再生数を記録していますね。
そして12月には、1stシングル「潮風」をリリース予定。10月より放送されるアニメ『舟を編む』のオープニングテーマにも決定しており、アニメのPVでその一部を聞くことができます。サビはまさにオープニングにぴったりの疾走感で、これまでの曲とはまたちょっと違った印象。
アニメの放送とCDの発売が、今から楽しみですね。