前回、当月にリリースされたサービスとして、「8月に注目を集めたWebサービス4選」をまとめました。今回は主に「話題になったWebサイト」と題して、いくつかのトピックを取り上げています。
どん兵衛ポエム|日清のどん兵衛
すっかりおなじみとなった、日清の商品PRページ。「劇的に、蕎麦。」「美を讃えた麺の上で、静謐のおあげに出逢う。」「昆布だしの関西(HEAVEN)に澄む。」など、高級マンションの広告コピーのパロディとなっています。
どこか詩的な言い回しが特徴的な、「マンションポエム」とも呼ばれる不動産広告。そこに「どん兵衛」を当てはめることで、不思議なおかしみと笑いを生む内容となっています。マンションよろしく、都会の夜景の中で光り輝くどん兵衛のビジュアルもまた、元ネタに忠実ですね。
牛乳石鹸 WEBムービー「与えるもの」篇
牛乳石鹸共進社のウェブ動画「与えるもの」編が、8月15日頃からにわかにTwitterで話題に(参考)。そもそも父の日に合わせて6月16日に公開されたこの動画は、「子育てに悩みながらも毎日を頑張るお父さんへの応援メッセージ」として作られたそうです(参考)。
ところが、Twitterでは「父親の行動が理解できない」「とても家族思いには見えない」といったたくさんの批判の声が集まり、炎上。なによりも「よくわからない」「伝わりづらい」という呟きが多く見られた点を鑑みると、悪い意味での“モヤモヤ”を多くの視聴者に抱かせたがゆえの炎上と言えそうです。
一方では、「家族と仕事の狭間で迷う父親に共感できる」「広告としては理解できないけれどリアルに感じられて好き」といった声も少なからずありました。動画のターゲット層には届いているようにも見えますが、「牛乳石鹸の広告」としては、何とも言えない結果をもたらしたように思います。
YouTuberによる「VALU」売り逃げ騒動
6月にも「注目を集めたサービス」としてご紹介した「VALU」が、8月中旬、にわかに話題になりました。きっかけは、ヒカルさんをはじめとする人気YouTuberによる「売り逃げ」とも受け取れる行為。複数のユーザーが不当に損失を被ったことで炎上し、日経新聞に取り上げられるほどの騒ぎとなりました(参考)。
その後、ヒカルさんたちは自らが売り出したVAを買い戻し、VALU運営側は一連の取引で発生した手数料を寄付することを発表(参考)。騒動は収束しつつあるようです。特にVALU運営は本件以降、取引に関するルールを変更するなど、健全なサービスづくりに努めているようです。
より詳しく知りたい方は、以下の記事などが参考になるかと思います。
- 「VALUの主張より日本の憲法が優先される」『VALU』リードエンジニア・小飼弾氏にシステムについて色々聞いてみた
- やまもといちろう 公式ブログ – YoutuberヒカルさんのVALU事件、いろんな方面に延焼中 – Powered by LINE
- 「VALU」、トップページから「株式のように」を削除 税務上の扱いは「国税局に問い合わせ中」 – ITmedia NEWS
Wantedly社のDMCA問題
8月25日、「Wantedly(ウォンテッドリー)のIPOがいろいろ凄いので考察」というブログ記事がGoogleの検索結果から削除され、同記事について呟いたツイートの多くも非表示に。同社がデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき、削除申請をしたことによるものでした。
削除申請の理由として、Wantedly社は「当社が著作権を有する画像の無断使用はやめていただきたいとの判断に至」ったためと説明(参考)。しかし、同様の写真を掲載したほかのブログは削除されていないことから、「自社への悪評をもみ消すためだったのではないか」という批判が挙がり、話題となりました。
きっかけとなった写真の無断使用について、弁護士ドットコムでは「引用が成立するかどうかは、微妙なライン」という弁護士の声を紹介(参考)。他方で、問題となったDMCA申請についてSEOコンサルタントの辻正浩さんは、「許されるべきことではない」と強く批判しています(参考)。
まとめ
以上、8月に話題になったWebサイトでした。
夏休みだから……というわけではないでしょうが、今月は普段よりも炎上案件が目立ったようにも感じますね……。それも「特定の個人が何かをした」というよりも、企業やサービスが渦中にあり、賛否両論の議論を集めていたようにも見受けられます。
また、炎上の中心に「コンテンツ」それ自体や、その「扱い方」の是非が問われている点も特徴として挙げられそうです。本来はターゲットとしていなかったユーザーにコンテンツが届いてしまうリスクや、意図しない批判への対応の考え方など。
こうして見ると、商業活動として各種サービスを運営・利用している企業はもちろんのこと、個人のユーザーとしても、「コンテンツ」の是非について常日頃から考えておくべきなのかもしれません。