PRライターという仕事

地方企業のPRは、今こそデジタル化を。世の中のルールチェンジが進むなか、オンライン活用でPRの効果を最大化する方法~ナレッジネットワーク株式会社代表取締役 森戸裕一さん~


世の中が急速に変わっている現在。今までと異なる仕事のあり方が求められる中で、どのようにPRをしていくか考えていらっしゃる方も多いかもしれません。

 

今回インタビューさせて頂いたのは、デジタルとビジネスを組み合わせて中小企業・地方自治体の支援を行うナレッジネットワーク株式会社の代表であり、複数の大学で教鞭もとられている森戸裕一さん。

 

これまでに経営者や営業担当者、地方行政に向け3000回以上の講演を行うなど、全国を飛び回ってビジネス支援を行っていらっしゃる森戸さんに、これからのPRについて、PRライターのいわせともみがお話を伺いました。

 

 

 

今なら、アナログからデジタルへの転換そのものが、PRにつながる

 

───今、デジタルでPRするメリットはどんなことでしょうか。

 

森戸裕一(以下、森戸):ここ数か月で、オンラインでの仕事やPRが促進され、急速に全国で環境のハンデがなくなっていると感じています。以前は首都圏でイベントがあると、地方から参加するには、高い交通費や長い移動時間をかける必要がありました。今はイベントがオンラインで行われることが増え、そうしたコストがかかりません。

また、開催する側のメリットとしても、セミナーに1000人集めたいとすれば、従来は1年がかりで企画して、大きな会場を早くに押さえて……といった労力がかかっていましたが、オンラインであれば明日にでも開催できます。

 

今こそ、これまでアナログだった地方自治体や伝統産業、中小企業などがデジタルを使って発信をはじめることが重要だと思います。珍しくて話題になりますから。

 

例えば、農業にドローンを導入して、おいしい作物を安定して作れるようにするといったような取り組みはメディアが放っておかず、ニュースとして広く知ってもらうことができます。

 

 

 

───逆に、デジタルでのPRにおける注意点はありますか?

 

森戸:全方向に好かれようとしないことです。これまでの物理的な枠を超えて、広く届けられる分、万人受けするのは難しい。全員に忖度することよりも、どんな人たちに共感してもらいたいのかをしっかり考える必要があります。

 

たとえばキングコングの西野亮廣さんは、自分の会員制オンラインサロンで活動されていますよね。会費を払って登録している人は全員が彼のファンですから、関係もしっかり築いていけるし、新しい取り組みも好意的に受け入れてもらえます。パブリックリレーションズのパブリックを、「広く」という意味ではなく「自分たちの取り組みに共感してくれる人たち」ととらえ、その中でリレーション、つまり関係をつくっていくのがいいですね。

 

 

 

PRのコツは、ニュースをつくること。まずは「カンニング」からはじめよう

───PRを始める際、最初にすべきことは何でしょうか。

 

森戸:お客さまには「まずは、カンニングしてください」と伝えています。

 

今は、ネットで検索すれば上手くいった事例も失敗した事例もいくらでも出ています。「このプレスリリースがテレビや新聞で取り上げられました」という情報も多いですよね。そのプレスリリース全文を読むこともできます。そういった先行事例を見てみて、上手くいっているものをいろいろ真似してみることを勧めています。

とくに、自分たちの取り組みが「日本一」や「業界初」だというエビデンスを示すことができれば、メディアは放っておきません。

 

うまくPRすることは難しそうだと感じている方は、まずはネットを紐解いて、情報収集してほしいですね。そうした事例がたくさんありますから。経営危機だった中小企業がデジタルを使って業績回復した事例も少なくありません。大変な時期こそ、うまくカンニングを取り入れて、PRをはじめてほしいです。

 

 

 

───デジタルを活用したPRをするコツは、ありますか?

 

森戸:PRの基本は「ニュースをつくる」ということなので、周りがやっていなかったことをすると、それが可能になります。

 

たとえば、同じ地域に同業他社が100社いたとして、どこもデジタルでのPRをしていない。その中で1〜2社がオンラインで発信すれば、新しい取り組みとしてメディアに取り上げられたり、話題になったりします。そういった「周りと違うことをする」こと。周りがしていることの逆手をとるということです。

 

ニュースを作ろうとするときに、自分たちだけではなかなか難しいという場合は、すべてを自前でやろうと考えないことですね。デジタルの利点は、さまざまな人と繋がれることですよね。自分たちが苦手としている分野があっても、それが得意な人にも出会えます。だから、自分たちだけでは、やり方が分からないことでも、外部の知識やスキルを活用することで、できるようになります。

 

 

 

世の中のルールチェンジが起きている今、PRをはじめるには絶好のタイミング

───PRの成果について、どんなことを評価基準にしたらいいでしょうか。

 

森戸:物を売って終わるという概念とは異なり、PRでは「ファンをどれだけつくれるか」が重要です。だからこそ、コミュニティをつくることはおすすめです。コミュニティの中で求められるものを、自分たちの技術で形にしていくことから、コアなファンが生まれていきます。

 

今は、SNSなどで消費者と直接繋がれるおもしろいときですから、どうすれば共感の輪を広げてコミュニティをつくれるのか考えて、いろいろ施策を打ってみるといいと思います。

 

たとえば、地方の空き家を活用して宿泊施設にし、来てくれるクリエイターの方々をオンラインで募って地域の魅力を発信してもらうなど。そうすることで、テレワークが進んで多拠点生活を考える人たちに届いて、つながりが生まれます。また取り組みそのものも「地方がクリエイターと組んだ」という話題性でよりPRできます。

 

 

 

───最後に、PRのはじめの1歩を踏み出そうとされてる方々に、メッセージを頂けますでしょうか。

 

森戸:これまで踏み出さなかったことはむしろメリットだと思います。

今、世の中が動いて大きなルールチェンジが起き、これまでの知識や経験が通用しなくなりました。つまり企業の規模や住む場所、経験の有無はもう関係なくて、今スタートラインはみんな一緒なんです。この時がチャンスです。

 

ですから、これまでちょっと躊躇したり、忙しかったりしてスタートを切れていなかったことも、ためらわずにやってみてほしいです。僕は時間ができたので、これまで手をつけられていなかったillustratorやPhotoshopなどを習得しました。こうした大きな変化のときは、困難をポジティブにとらえて次の1歩をすぐ踏み出すのが大切だと思います。

 

 

 

インタビューを終えて

 

お話を伺っている間、物理的なネックを取り払って新たなつながりをつくることができるデジタルの可能性に、終始期待が膨らみました。

 

・従来のやり方や周りに固執せず、現状に合わせて柔軟に対応すること
・どんな人に自分たちの取り組みを届けたいかという軸をブラさないこと
・応援してくれるコミュニティを作り、関係を築いていくこと

 

デジタルの可能性を活かしたPRを行うためには、こうした点が重要なのですね。
私も逆境をチャンスにするべく、これまで後回しにしていたことは何だろう?と自問するところから始めます。

(取材・執筆:PRライター いわせともみ)

 

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