アメーバ、ライブドア、FC2、はてな、ココログ、note、Medium――などなど、インターネット上には数多くのブログサービスが存在します。各サービスごとに細かな機能が異なったり、それぞれに独自の文化圏を築いていたりと、同じ「ブログ」でも特徴はさまざま。
そういったブログサービスの「個性」は、年を経るごとに変化しつつあるような印象がある一方で、サービス開始当初から大きくは変わらない面もなんとなしにあるような気がします。男女比や年齢層といった利用者もそうですし、話題になるトピックにも傾向があるような、そんな印象。
そこで今回は、ネット上に跋扈するブログサービスの中から、「アメーバブログ」「ライブドアブログ」「はてなブログ」「note」に関して比較し、まとめてみました。
全体を見通して調査するのは難しいので、ここでは「2015年上半期に各サービスでバズった記事ベスト5」を抜き出してみて、その傾向をざっくりとまとめてみようと思います。
(ただし「バズ」の基準を「はてなブックマーク数」としているため、すでにある種の偏りがあることは前提としております)
「アメーバブログ」の特徴
・フリーランスの方のための無償(またはあり得ない低額)で仕事を依頼された時のお断りセリフ集|知ってほしい!アンバサダー 大森渚の日記
・一人でも多くの方に知って頂きたいフランチャイズ・ファミマの真実|コンビニ大王 竹内稔のオフィシャルブログ「大王のルーチンワーク」
・新米Androiderが開発する上できっと役立つであろう10のサイト|サイバーエージェント 公式エンジニアブログ
・居眠りしていて2時間2万3千円もらえる仕事。東京都青少年問題協議会の実態について。|Colabo代表「難民高校生」著者・仁藤夢乃の『コラボトーク』
・当直医から一般のみなさまへのお願い again|女医Pinky
アメーバブログと言えば、数多くの芸能人・有名人のブログが大人気となっている印象が強いものの、抜き出してみると意外にもそれだけではない様子。最近話題になった記事で言うと、社会への問題提起的な内容のものが多くなっていますね。
中には公式ブログや企業の社長さんのブログもありますが、思っていた以上に「普通の人」のブログもしっかりと読まれ、取り上げられ、広く共有されているように見えます。画像はあまり見られず、文章による表現が主体となっている点も人気記事の特徴かと。
公式のブログランキングを見ると、少しまた毛色が違うようです。ジャンル的には「生活」「子育て」を取り扱うブログが圧倒的に多く、ママさんブロガーはアメブロに集中していることがわかります。
トップブロガーともなれば、いざこざを避けるためかコメント欄を閉じているブログも少なくないようですが、基本的には記事下のコメント欄での交流が話題なのもアメブロの特徴ですね。アメーバピグをはじめとする各種サービスとの連携もあり、数多くのコアユーザーを抱えている一大ブログサービスです。
「ライブドアブログ」の特徴
・テレビ番組のADを辞めてきたけど質問ある? : 暇人\(^o^)/
・プロトレーナーが筋トレについて答えるよ無料の範囲内で : 暇人\(^o^)/速報
・【リンクあり】俺が認めた良サイトをお前らに伝授する : 暇人\(^o^)/速報
・【画像あり】カルト教団と新興宗教を淡々と紹介していく : 暇人\(^o^)/速報
・【画像あり】大学生がよく着てる服のブランドを俺が勝手に批評するスレwwwwwwwwww : 暇人\(^o^)/速報
きれいに『暇人速報』の記事が並びましたね……。おそらく「まとめブログ」が名前を連ねるのだろうとは思っていましたが、まさか上から下まで全部同じサイトだとは……。
ブログならライブドアブログ(livedoor Blog) – 無料・デザイン豊富
“傾向”どころか“完全に一致”してしまったことはともかくとして、ライブドアブログには事実「まとめブログ」が数多く存在しています。
2ちゃんねるの書き込みをまとめた昔ながらのサイトはもちろん、最近は海外の話題、あるいは海外の掲示板に書かれた日本の話題を取り上げた、「海外の反応」系のブログも人気を集めているようですね。『カイカイ反応通信』『劇訳表示。』などなど。
奇しくも今回は『暇人速報』に集中してしまいましたが、もう少し詳しく、バズった記事の内容まで見てみるとやはり定番どころが広く拡散され、アクセスを集めているようです。「○○だけど何か質問ある?」系の記事が2つ、そして「紹介」系の記事が3つですね。
それらバズった5つの記事を見ると、いずれも非常に「内容が濃い」コンテンツとなっていることが共通点として挙げられそうです。画像を多用しているのもポイントですね。
元の掲示板のスレ主(スレッドを建てた人)が他の書き込みに対して丁寧に返信し、ブログの管理人もその中から意義ある部分を厳選して抽出し、全体として読み応え抜群になっていること。「1対多数」の構造の中で一貫性のあるやり取りが続いており、非常に読みやすいコンテンツとなっている印象を受けました。
「はてなブログ」の特徴
・【無料】最強のオンライン英会話学習サイトVerblingをなぜ誰もオススメしないのか – きりんの自由研究
・二次元画像を拡大したいと思ったことはありませんか? – デー
・ある程度パソコンが使える人が「Excelが使いこなせるようになりたいぞー」と思ったときに独学できるサイト4個。 – おしい県でWebに携わって働く人のブログ
・「持ち家」がいいか、「賃貸」がいいか。 – それ、僕が図解します。
・なぜドレスの色の錯覚はおきたか?-色の恒常性- – Sideswipe
今回は「はてなブックマーク」を基準にしてまとめているため、同じ運営元である「はてなブログ」の人気記事はやはりブックマーク数がずば抜けていますね……。
並んだ記事を見るかぎりでは、サービスの紹介や解説記事などに偏りがあるように見えます。取り上げている話題にもよりますが、いずれも画像を多用しつつも、メインとなるのは文字。こちらも、それぞれが非常に「濃い」コンテンツとして共有されているように見受けられますね。
「はてな」と言えば、一般的にはどちらかと言うと技術者のユーザーが多いという側面も語られがちですが、他方で古くは2003年から続く「はてなダイアリー」の流れをくむブログサービスでもあります。それゆえに、往年の「テキストサイト」界隈の文脈を知っている人も多い印象。
「はてなブログ」が始まってからのここ数年は、新規ユーザー層の取り込みにも成功しているらしく、ブロガーがお互いの記事を読み、コメントを付け合うようなユルいコミュニケーションが生まれている様子も。ライトユーザーが増え、サービス自体が活性化しているようにも見受けられますね。
「note」の特徴
・思いつきで作った段ボール製ベッドを自治体に売り込んだ|たちこぎライダー
・女子高生という子どもが、電車内という社会で、痴漢という性被害に遭うことについて|Tamaka Ogawa
・半年以上嫌がらせメールを送ってきた相手と直接会ってきた|星井七億
・日本にも「サムの息子」法があれば「酒鬼薔薇聖斗」手記で儲けるなんて許されない|りんがる
一番話題になった記事がマンガであることを除けば、他は文章で「読ませる」タイプのブログ。ビジネスアイデア、社会問題、時事問題、ネットコミュニティなど、とても幅の広いトピックが取り上げられております。
noteの特徴は何と言っても、そのシンプルなデザインと、雑誌でも読んでいるかのようなインターフェイス。余計な広告や装飾はほとんど目に留まらず、メインとなる「コンテンツ」に読者の視線をとにかく集中させる構造になっているようにも見えますね。
また、マンガ家や小説家、ミュージシャンにフォトグラファーなど、多彩なクリエイターが好んで使っているサービスでもあります。コンテンツは安価から販売することも可能となっており、一部ではサブカル系ユーザーのファンコミュニティとなっている様子も。
シンプルであるがゆえに自分のコンテンツで勝負する必要が出てくる一方で、アクセス数や広告の配置といった他の要素を気にする必要がないため、純粋に「自己表現」をした人にぴったりのサービスと言えるかもしれません。読んで字の如く、自身の“ノート”を綴りたい人に。
まとめ:「コミュニケーション」か「コンテンツ」か
各ブログサービスについてその特徴をざっくりとまとめると、次のようになります。
アメーバブログ
・個人事業主に人気、主婦層をはじめとしたコミュニティもあり
・生活に密着した記事のPVが伸びる傾向
・コミュニケーション色が強いため、コメント欄でのやりとりが好きでない人には辛いかも
・初心者でも操作しやすいが、少しカスタマイズしようとすると途端に難しくなる
ライブドアブログ
・FacebookやTwitterで一定のファン数を持っている人向け
・IT、恋愛、ゲームなど、キャッチーな記事がSNSで拡散され話題になる傾向
・上位ランキングが固定化してしまっているので、元々コンテンツを持ってないと伸ばしづらい
・画像の貼り付けや移動がやりやすく便利なので、画像が多いブログにおすすめ
・有料会員機能も最近無料に開放された
はてなブログ
・短期間でPV数を上げたい人におすすめ、初心者でもアクセスを稼ぎやすい
・全ブログサービス中、はてなブックマークからのアクセスが最も期待できる
・コミュニティや独自文化の性質上、販売色の強い文章への風当たりが強い
・SEO的にも有利であり、アクセス数を重視するなら強く勧められるサービス
note
・作家、ミュージシャン、イラストレーターといったクリエイターにおすすめ
・余計な装飾や広告がなく、自前のコンテンツを前面に押し出すことができる
・クリエイター同士がつながる傾向があるため、それ意外だと交流に苦労するかも
・シンプルに想いを綴りたい、そこまで商売っ気を出したくない人に向いているイメージ
いずれも同じ「ブログサービス」ではありますが、そのデザインやシステムはもちろんのこと、外部から見ると、意外に各々の独自色が見て取れるものとなっております。
それは運営会社の方針によっても一部は左右されるものではありますが、なにより大きいのは、やはりユーザーの存在。それぞれのサービスに異なった層の利用者が集まり、独自のコミュニティを築くことによって、「○○ブログの特徴」が醸成されていると言っても過言ではありません。
こうした特徴を鑑みると、自分が「ブログを使う目的」を基準にすることも大切ではありますが、それ以上に「どういったコンテンツを発信するか」「どのような人とコミュニケーションを取りたいか」といった視点も重要になってくるでしょう。人によって、合う・合わないは間違いなく出てきます。
一概に「これがおすすめ!」とおすすめするのも難しいブログサービス、本記事でご紹介した特徴が、その判断基準となれば幸いです。よかったら、参考にしてみてください。