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【編集者インタビュー】黒川可奈子さん(サンマーク出版)「タイトル、内容、デザイン……本づくりのすべてを“読者目線”で」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:『愛されて仕事がうまくいく女になる43のヒント』(サンマーク出版)

愛されて仕事がうまくいく女になる 43のヒント
サンマーク出版 (2013-03-05)
売り上げランキング: 77,601

 

編集者:黒川可奈子さん(サンマーク出版)

 

 

 

───最初に著者の金澤悦子さんとお会いになったときの第一印象はどうでしたか?

また、金澤さんの「ビジネス著者」としての魅力はどこにあると思われましたか?

 

黒川可奈子さん(以下、敬称略):最初にお会いしたとき、明るくておしゃれさんで、「素敵なお姉様!」と思ったのが印象に残っています。

また、もともと雑誌をつくられていたこともあり、見出しになるような、独自でおもしろい言葉をお持ちなのも、著者としてすばらしいと思いました。

弊社では「自分の言葉をもっている著者かどうか」が強く問われるので、「もくもくする」「「分身の術」を使う」といったキャッチーな見出しがすでに企画書にたくさん散りばめられていたのが魅力的でした。

 

───今回の企画内容をご覧になって、書籍化したいと思われたポイントはどこですか?

また、御社内の会議や検討時での、この企画についての感想はいかがでしたか?

 

黒川:先に述べたように、やはり言葉の使い方がとてもおもしろく上手だという声があがりました。「ほぼそのまま見出しに使えるのでは?」と言われたほどです。

当初は100個近く項目案があったのですが、特におもしろいものだけに絞って、楽しく読める本にしようということでGOサインが出ました。

 

───本書のタイトルは「愛されて仕事がうまくいく女になる43のヒント」ということですが、どんな読者に、どうなってもらうことをイメージして作られたのですか?

そのために気をつけたこと、こだわったところはどんなところになりますか?

また、著者の金澤さんへはどんなアドバイスをされたのでしょうか?

 

黒川:「バリバリとしたキャリアウーマン」というよりも、「周りに助けられながら、周りと協力しながら自分らしく仕事をしたい」と思っている女性読者をイメージしました。

ただ、愛されることとは、誰かに媚びたり、自分を偽ったりすることではありません。あくまで自然体で、自分らしく、という本になるように意識しました。

金澤さんには、原稿を書く際に、女性が読みやすいように、ところどころで口語的な表現を入れたり、「♪」や「!」を入れて楽しい感じがする文章にしてくださいとお願いしました。

きゃぴきゃぴしすぎず、読みやすい、とてもいい原稿に仕上げていただきました。

 

───類書との差別化を図るために、タイトルやデザイン、売り方など何か工夫されたポイントや、苦労された点がありましたら教えてください。

 

黒川:タイトルは、とにかく「読者がどうなりたいのか」ということをイメージして決めました。

働く女性にとって、ただ仕事ができるようになるだけではなく、愛されることもきっと重要なはずです。そこで、「仕事がうまくいく」と「愛される」の両方の言葉を使った、ちょっと贅沢なタイトルになりました。

デザイン面は、読者対象がほぼ全員女性ということもあり、ピンクをどこかに使いたいと考えました。

ただ、ピンクが強すぎると、恋愛本のようなイメージになってしまいます。あくまでビジネス書としてつくっているので、白ベースでシンプルに、アクセントとしてピンクを入れるようにしました。

このあたりのバランスは、少し苦労しましたね。実は、本文の用紙も少しピンクがかかっているものを選びました。この本の最大のこだわりポイントかもしれません(笑)。

 

───黒川さんが最近手がけられたのはどんな本ですか? 簡単にご紹介ください。

 

黒川:ザ・ボディショップやスターバックスなどでCEOを務められてきた、岩田松雄さんの『「ついていきたい」と思われるリーダーになる51の考え方』という本を昨年つくりました。

おかげさまで好評をいただき、第二弾として、『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方』という本も編集しました。

5月末に刊行されます。

今度は、リーダーからみた、「引き上げたい」と思う理想の部下の姿についてまとめていただきました。

 

───黒川さんは、ふだん企画を考える際、どんなことを大事にされていますか?

また、今後手がけてみたいテーマがあれば、教えてください。

 

黒川:金澤さんの本も、上記の岩田さんの本も、企画を考えたりタイトルをつけたりする際に、読者が何と言われたらうれしいのか、どんな言葉にひっかかるのか、読者はどうなりたいのか、ということを考えています。

働く女性だったら、ただバリバリ仕事をこなしたいのかというと、そうではなくて、周りとうまく付き合いながら幸せな気持ちで仕事に向かいたいという人のほうが多い。

そう仮定して、タイトルをつけたり、企画の中身をつめていきました。

今後は、強いて言えば健康やダイエットというテーマでヒットをつくりたいと思っています。

ただ、ジャンルやテーマに限らず、一流のすごい人の本をつくりたいと、いつも考えています。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?

逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

黒川:やはり、その分野での“一番の人”とやってみたいという気持ちがあります。

そして、その分野での経験から語れるものがたくさんあるかどうか、語る言葉がおもしろいかどうかを考えます。

どんなにすごい実績がある人でも、語れる言葉がなければ本はつくれないし、逆に言葉だけおもしろくても、読者がこの人の言うことなら読みたい、という実績や信頼感がなければ、中身の薄いものになってしまうと思います。

また、編集者に任せていただける部分が多いほうがいいです(笑)。原稿の中身などはその分野のプロである著者の意見を採用することも多いのですが、タイトルや装丁、見出しなどは、本づくりのプロとして版元や編集者に任せていただけるとうれしいですね。

一緒につくりたくないと残念ながら思ってしまう人は、自分のために本をつくろうとしている人。自分のブランディングやビジネスのためというのが透けて見えるとテンションが下がります。

あくまで世の中のため、読者のため、という気持ちがある方としかやりたくありません。

 

───本づくりにエージェントが関わることのメリットにはどのようなことがあると思われますか?

 

黒川:なかなか編集者だけでは見つけられないような、新しい著者さんと出会えるのが大きいと思います。

 

───最後になりますが、ビジネス書作家を目指すメルマガ読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

黒川:まだ本を書いたことがなくても、無名でも、ベストセラー著者になる可能性はたくさんあります!

すてきな企画をお待ちしています。

 

───黒川さん、ありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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