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【編集者インタビュー】佐藤晴美さん(大和出版)「ビジネスはプレゼンの連続。著者のテクニックだけにとどまらない、一生使える伝え方のコツを書籍化」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:『「プレゼン&資料作成」のプロが明かす! 3秒でOKがもらえる「伝え方」の基本』(大和出版)

 

編集者:佐藤 晴美さん(大和出版)

 

 

 

───今回の企画は、どのような経緯でスタートしたのでしょうか?

また、どうして天野さんに執筆してもらいたい、と思われたのでしょうか?

 

佐藤晴美さん(以下、敬称略):プレゼンテーションにはテクニック以前に、新人にもベテランにも共通する「原理原則」「基本」があるのではないか、と思ったことが企画のきっかけです。

それを本にするにあたって著者を探したとき、テクニックにとどまらず、「プレゼンが人のあり方とどう関わるか」にまで踏み込んでお書きになっている天野さんなら適任だろうと思い至り、執筆をお願いしました。

実は、天野さんと知り合ったのは10年ほど前のこと。まだ天野さんが起業なさったばかりの頃で、起業での成功を目指している女性たちがたくさんいる場でした。

特別なウエディングドレスの製作や各種ヒーリングなど、女性好みの起業プランを考えている方が多い中で、男性目線ともいえる「プレゼン」をテーマとして掲げていた天野さんのことは、とても印象に残っていました。

 

───本書は、プレゼンする相手から「3秒でOK」をもらうために必要な「瞬時に伝わるコツ」や「即決を引き出すコツ」が網羅されています。

その中でも佐藤さんが、「これは使える!」と思われたコツは何でしょうか?

 

佐藤:「これは使える!」と思って、実際に心がけていることは、「○○までに決めてください」と結論の締め切りを促すことです。

締め切りがないと、人はなかなか動かないものです。「期限を切った方がいい」ことへの理解は、もちろん以前からありました。しかし、天野さんが述べてくださった「イエスでもノーでも、回答があれば次の一手に踏み出せる」という考え方は、催促が苦手な私が締め切りを促す“勇気づけ”になりました。

 

───(著者インタビューで)天野さんは執筆に際して、「時代とともに変わる部分と変わらない部分を見つけること、また伝えることの本質を表現するのに苦労した」とおっしゃっていました。

天野さんに執筆前や執筆中、何かアドバイスされたことがあれば教えてください。

 

佐藤:天野さんも仰っている「伝えることの本質」を表現していくために、アドバイスというよりも、執筆中に取材風の打ち合わせを何度か時間をかけて行いました。

天野さんご自身のお考えをいったんアウトプットしていただくことで、実際に執筆される際に書きやすくなるだろう、と考えてのことです。

 

───「プレゼン(伝え方)」に関する本はたくさん出版されていますが、本書は類書とどのような点で違いがあると思われますか?

また、タイトルや構成、デザインなど類書と差別化するために工夫された点を教えてください。

 

佐藤:「相手はどう感じているのか?」の観点から“伝わりやすさ”と“受け入れやすさ”を提示している点が、スキルのみを語ることの多い類書との違いです。

この観点が絶えずベースにあることから、相手の好感を得やすくなり、「負けたはずのプレゼンが逆転する」などが起こり得ます。

また多くのビジネスパーソンは、「プレゼン」と言われたときに「コンペ」や「会議」といった大がかりな場面を思い描きがちです。しかし、上司と偶然エレベータに乗り合わせ、考えていたプランをうまくアピールすることもプレゼンであり、大多数のビジネスパーソンにとっては、こちらの方が現実的でしょう。そのように、プレゼンを広義に捉えたかったのです。

ですから、タイトルに「プレゼン」の言葉を用いれば、この手のプチプレゼンへのニーズを取りこぼしてしまうと考え、「伝え方の基本」としました。それで本当にいいのだろうか、と最後まで悩みました。

 

───本書の制作にあたって、何か苦労されたことはありますか?

 

佐藤:単なるスキル集ではなく「一生使える原理原則」を描いていただくことが目的でしたが「初歩」「入門」の説明になってしまう箇所が散見されました。

そこで、「時代が変わっても通用する原理原則」にするためにはどうしたらいいのか、を考えました。

 

───本書は、どのような方に読んでもらいたいと思われますか?

 

佐藤:あらゆるビジネスパーソンの方々に手に取っていただきたいです。特にお読みいただきたいのは、新人社員と企画や営業に携わる方々ですね。

先にも述べましたように、ビジネスは毎日がプレゼンの連続なのですから。

 

───佐藤さんが最近手がけられたのは、どのような本ですか? 簡単にご紹介をお願いします。

 

佐藤:ビジネス書としては、鳥原隆志さんの『トップ1%に登り詰める人の頭の中身・ 必ず結果を出す「思考の習慣」』を出しました。

日本におけるインバスケットの第一人者であり、一流企業のトップエリート1万2000人以上と接してきた鳥原さんに、長期に渡って成果を出し続けるハイ・パフォーマーに共通する「仕事の習慣」を説いていただきました。

できる人は、たとえば受講するセミナーでの行動もひと味違います。本書を読むことで、できる人が習慣化している行動とその背景にある考え方を身につけることができます。

また直近の一冊は、精神世界の本で木村衣晴さんの『「金星の女神」のチャネリング・レッスン』です。イタコの薦めではありませんよ。直感力を高めて、運の流れに乗っていくための本です。

深く考えず、感じたままに動いた方がうまくいくことがあるかと思います。本書では、その「感じる力」を高めることでシンクロニシティー(意味のある偶然)が次々と起こり、びっくりするような好展開が続くと説きます。

女性向けではありますが、ご興味があれば是非お手に取ってみてください。

 

───普段、企画を考える際に、どんなことを大事にされていますか?

また、今後手がけてみたいテーマがあれば教えてください。

 

佐藤:「つくりたい」「伝えたい」「新しい」「面白い」が先に立ち、マーケットとニーズが後づけになりがちですので、最近はそこを最初からきちんと考えることを大事にしています。

今後手がけてみたいテーマは、成果を出すための心理学関係や認知症、50代・60代の生き方などです。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者は、どんな人物ですか?

逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

佐藤:基本は、希有な経験をされている方、オリジナルの考え方・ノウハウをお持ちの方と一緒に本づくりがしたいです。

したがって、どこかで見たことのある他者の本と似たものを出し続けているような方とは、正直言って仕事をしたくありません。

 

───本作りにエージェントが関わることのメリットには、どのようなことがあると思われますか?

 

佐藤:一番のメリットは、エージェントの方が関わることで、出版社の編集者だけでは目が届かない、ユニークな著者の発掘ができることだと思います。

 

───最後になりますが、ビジネス書作家を目指すブログ読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

佐藤:自分の経験を元にすれば、誰でも一冊なら本が書けると言われます。ですから何冊も書き続ける「引き出し」と「深み」を持っているのか、が作家として続けていく極意だと思います。

特に近年は、一冊売れれば次々と執筆依頼が殺到するものです。言葉は悪いようですが、このことは著者を短期で使い捨てることになりかねません。ですから、今のうちに知識や経験をどんどん増やしていってください。

 

───佐藤さん、お忙しいところありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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