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【編集者インタビュー】栗原和子さん(祥伝社)「リベラルアーツを学び、『自分の頭で考え抜く力』を身につけよう!」

書籍づくりの現場ではどのような作業が行われているのか。実際に本を出版した著者と、その担当編集者のインタビューを公開します。企画の経緯から執筆・編集・デザイン・売り方まで、生の声をお届けします。

 

書籍:本物の知性を磨く 社会人のリベラルアーツ

本物の知性を磨く 社会人のリベラルアーツ
麻生川 静男
祥伝社
売り上げランキング: 41,549
  • 「キリスト教を知らずに西洋は分からない」は本当か?
  • 日本人に宇宙船アポロは作れただろうか?
  • なぜ日本人はマネジメントが下手なのか?
  • 英語は本当にグローバルな言語か?

すべてのビジネスパーソン必読!「文化のコア」を知り日本と世界を理解するための、仕事に効く「大人の教養」集中講義。「奴隷的生き方」から脱する武器を手に入れるため、さぁ限りない「知の探訪」へ出よう。

編集者:栗原和子さん(祥伝社)

 

 

 

───本書出版にあたり、麻生川さんの印象やビジネス書作家としての魅力を教えてください。

 

栗原和子さん(以下、敬称略):ひとことで言えば「知のマエストロ」でしょうか。

麻生川さんの本棚を拝見したことがありますが、さまざまなジャンルの本がびっしり並んでいました。中国史の大著『資治通鑑』を読み込まれたり、ドイツ語、英語をはじめ語学も堪能でいらっしゃるし、原稿への疑問や、わからないことをいつ質問しても、丁寧な説明を、しかも即時にいただけるので、その度に驚いていました。

今回は、「リベラルアーツ」についてご執筆いただきましたが、まだまだたくさんの引き出しをお持ちの方だと思います。

 

───あらためて、栗原さんは社会人がリベラルアーツを学ぶことは、どんなメリットがあると思われますか?

 

栗原:「自分の頭で考え抜く」ことが必要だと感じている社会人が、とても増えています。今の教養ブームもその表われですよね。

でも、私自身感じることですが、「では社会人の私は何を勉強したらいのか……」と、思うことも多かったのです。そんなとき、ビジネスリーダー向けに「リベラルアーツ」を講義なさっている麻生川さんのお話を聞く機会がありました。

麻生川さんは、グローバルリーダー育成のための企業研修を数多く行なっていて、その経験から本書をご執筆いただきました。英語よりギリシャ語やラテン語を学ぼうという指摘や、科学・技術史というものの見方は、世界が広がります。

私の言葉で伝えるより、本の中から、リベラルアーツを学ぶメリットについて、少しご紹介したほうがわかりやすいかもしれないですね。

麻生川さんは、「グローバル視点・グローバル思考に関して一番重要なのが『物事を根本から考える』ということである」として、次のことを普段から心がける必要があると指摘されます。

 

・人から聞いただけのことを深く考えずにしゃべっていないか?

・「なぜそう考えた?」と聞かれて説明できるか?

・本当に、それ以外の考え方はないのか?

・前提条件が間違っていたらどうなるのか?

・異なる視点や立場に立って考えたか?

 

つまり、自分の頭で考え抜き、自分の意見を相手にわかるように伝えるということですが、リベラルアーツを学ぶことで、「物事を根本から考える」力は、格段に上がります。では、そのために

何をどのように勉強したらいいのか。本書は、その疑問に答えるための、実践的な案内書です。

 

───本書には、リベラルアーツとは何かという基本的なことはもちろん、社会人に必要なリベラルアーツについて、歴史書から世界観・人生観を学ぶ、世界各地の文化のコアを掴むなど、章立てでわかりやすく書かれていました。

なかでも、栗原さんが一番おもしろいと思われたのはどの部分でしょうか?

 

栗原:なぜ文化のコアを掴む必要があるのか。この点がとても面白いと思いました。

具体的には、3つあります。

 

1つ目は、「自由」についてです。

「自由精神とは、自立的で健全な懐疑精神」を持つこと。そして、「自由精神を持った人間は、たとえ結果的に同じ行動をすることになっても、必ず自分で考え納得した上で行動する。それが、西洋および地中海世界を何千年、あるいは何万年も貫いてきた太い行動原理である」と、麻生川さんは喝破します。常識も法律も疑う。この懐疑精神を、私たちは育てていく必要があると感じました。

 

2つ目は、日本人の強みと弱みについてです。

日本人の長所としてよく挙げられるのが、次のようなことです。

・日本の製造業のレベルは世界的に高い

・日本人は勤勉だ

ところが、麻生川さんが導き出した結論は、上記とは異なる結論でした。本書の中で麻生川さんは次の問いかけをします。

「日本人に宇宙船アポロは作れただろうか?」

具体的な話は本書に譲りますが、日本人のものづくり文化を考える上で大切な指摘ではないかと思いました。

 

3つ目は、英語学習についてです。

日本の英語学習の弊害の問題についてふれつつ、むしろギリシャ語とラテン語を学ぶメリットを解説。目からウロコが落ちました。

 

───タイトルや構成、デザインなど、類書と差別化するために工夫された点を教えてください。

 

栗原:タイトルについては、学生向けの教養講座でないところを打ち出したかったです。

また、内容については、リベラルアーツの学び方というノウハウだけでなく、リベラルアーツを学ぶことで、具体的にどのように世界を見ることができるようになるのかを示す構成にしました。

リベラルアーツの扱う項目は膨大です。その中から、本書で何を取り上げるか、麻生川さんと相談しました。

装丁は、人気デザイナーのtobufune(とぶふね)さんです。シャープだけど、ほかの本にはないデザインになったと思います。

 

───本書はどのような方に読んでもらいたいと思われますか?

 

栗原:ビジネスパーソン、ビジネスリーダーを目指す方、人生を豊かに生きたい方、知的生産の方法を探している方に、ぜひ読んでいただきたいです。

 

───普段企画を考える際、どんなことを大事にされていますか?また、今後手がけてみたいテーマがあれば、教えてください。

 

栗原:もやもやを解決してくれたり、新しいことを教えてくれるようなテーマを大事にしたいですね。魅力的な方がいれば、その方に何を書いていただこうか、と考えることも多いです。

 

───「一緒に本をつくってみたい」と思う著者はどんな人物ですか?

逆に、「こんな著者とは一緒につくりたくない」と思うのは、どんな人物ですか?

 

栗原:一流の方とお仕事させていただきたいです。一流というのは、もちろん広い意味ですが。

売れる本を出している方は、わかりやすく面白く伝える工夫や、売るための熱意が、とても強いですよね。当たり前のことかもしれないのですが、編集もこの点をおろそかにしてはいけないなあと思います。

 

───本作りにエージェントが関わることのメリットにはどのようなことがあると思われますか?

 

栗原:著者、編集のほかに、もうひとつの「目」が入ることが大きいと思います。

スケジュール調整やプロモーションの力添えしてくれる点でも、エージェントは著者の負担をぐっと軽くしてくれます。

 

───最後になりますが、ビジネス書作家を目指すメルマガ読者のみなさまに、メッセージをお願いします。

 

栗原:私たちのもやもやを解決してくださる方、難しいことをわかりやすく、面白く書いてくださる方、使えるスキルを紹介してくださる方、そういう方々の本を作らせていただきたいです。

 

───栗原さん、ありがとうございました!

 

ブログをお読みの皆さんで、本にしたら絶対売れる!!という企画・原稿をお持ちでしたら、弊社あてにご応募ください。

くわしくは企画原稿検討の要項をご覧ください。検討させていただきます。

ご意見・ご感想は(info@appleseed.co.jp)までお願いいたします。

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鬼塚忠

アップルシード・エージェンシー代表。大学在学中に英国留学し、卒業後は働きながら、4年間で世界40か国を巡る。帰国後、海外の本を日本に紹介する仕事を経て、独立。「作家のエージェント」として、多くの才能を発掘している。自身でも小説を執筆し、著書に『Little DJ』『カルテット!』『花いくさ』『風の色』等がある。

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